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【年末調整】令和2年から様式が変更になりました。

みなさんこんにちは!おさいふです。

そろそろお手元に年末調整のお便りが届く頃かと思います。今年の年末調整は昨年と違って様式が大きく変更となっておりますので、改正点を中心にご紹介していきたいと思います。

令和2年年末調整
[画像引用元:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm 2020年10月]

 

 


基礎控除の改正


 

基礎控除
[画像引用元:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm 2020年10月]

 

これまで基礎控除は皆一律に38万円が与えられていたものでしたが、これからは所得金額に応じて48万円~0円まで控除の幅ができることになりました。合計所得金額が2,500万円を超える方は全く控除にならず、2,400万円以下の方は48万円に増額されます。

かなり稼ぐ方以外、この点では減税になります。

 


☆給与所得控除の改正


 

給与所得控除
[画像引用元:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm 2020年10月]

 

給与所得控除が改正され、10万円分(給与の収入金額が1,000万円を超える場合は25万円分)控除が減りました。これに関しては増税になりますが先の基礎控除の増額を加味すると、差引きプラスマイナス0となり今までと変わらないという結果です。

では何故このようなややこしいことをするのかと言いますと、近年の働き方改革によりフリーランスで働く方が増加し、給与所得者との税制面での格差を是正するために行われた改正になります。

給与所得者には給与所得控除があり、フリーで働く方よりも優遇されているので給与所得控除を減額し、その分基礎控除を増額すればバランスが取れるのではと考えられました。

高収入の給与所得者を除く、一般的な会社員の給料では税額には影響ありませんし、フリーの方にとっては基礎控除が増額になり税金が安くなって助かるという仕組みです。

 


☆所得金額調整控除の創設


創設

では、高収入の給与所得者はどうなったかというと増税になっています。

まず、収入が1,000万円を超えると給与所得控除が25万円減りますし、2,500万円を超えると今まで38万円貰えていた基礎控除がなくなります。

まあ私には全く関係ないレベルのお話しですのでこの辺はサラッといきますが、そんな羨ましい給料の方でも子育ての負担や扶養親族に障害をもった方がいる場合は必ずしも経済的な余裕があるとは限らない場合もあるでしょう。

そのため、年収が850万円を超える方のうち、一定の場合に税負担を軽減するため『子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除』が創設されました。

 

対象者は、
「その年の給与の収入金額が850万円を越える所得者」
のうち、下記のいずれかに該当する方です。
・23歳未満の扶養親族がいる
・本人が特別障害者である
・同一生計配偶者が特別障害者である
・扶養親族が特別障害者である

 

控除額は、
(給与収入※-850万円)×10%=控除額
※1,000万円超の場合は1,000万円

つまり控除額の上限は15万円ということになります。

 

こちらの控除は両親共働きでそれぞれ収入が850万円を超え、23歳未満の子どもがいた場合などには夫婦両方で控除の摘要を受けることができます。

通常、扶養控除の適用では子どもをどちらか一方の扶養家族とした場合は他方では適用できませんが、こちらは考え方が異なりますのでご留意ください。

 


★新しい申告書『基・配・所』ができました!


基礎控除等申告書
[画像引用元:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm 2020年10月]

 

上記の変更点を加味して、新しい申告書が年末調整に加えられました。

それが、
『給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書』
というもの。

まるで、B'zの歌のタイトル
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない
のような、なが~いネーミングとなりました(笑)。

 3つの申告書を1枚の用紙にまとめたため、単純にこのような名称になっています。

上記で説明した基礎控除は青色部分、所得金額調整控除は緑色部分で、あとは以前よりある配偶者控除がコンパクトになってセットされています。

余談ですが、業界用語的なもので、扶養控除等申告書は『まるフ』といいます。これは申告書の右上に扶養の『扶』の字を○で囲ったマークが入っていることに由来しますが、今回この申告書は何と略すのでしょうか?

『まるキハイショ?』それとも『まるキ?』

今度税理士さんに聞いてみます。

 


☆絶対これ聞かれるヤツ!?


収入金額記載部分
[画像引用元:国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm 2020年10月]

 

新しい様式の申告書を見ていますと、『これは絶対聞かれるヤツ』というところがありました。それは自分の給料額を記載する欄が新設されているところです。

これは基礎控除申告書の部分にあり、所得区分の判定に使用されるものになりますが、自分の給料(賞与を含む)が12月末までにいくらになるかを計算するのがめんどくさいか、単純にいくらかわからないか、絶対経理担当に聞いてくる人続出ではないかと思われます。

「給料の金額がいくらかは会社が一番良く分かっているので、そっちで書いてくれ」というのが従業員の本音ではないかと思いますが、制度として自分で計算して申告するということになっていますので、端から諦めずにチャレンジしてください(願望)。

ちなみに配偶者控除等申告書には以前から収入の金額を記載する欄がありましたが、これはあくまで該当者だけ記載するものでしたのでそれほどトラブルはありませんでした。

今回は全員が対象ですので、絶対経理担当者の手間が増えること間違いなしだと思います。

 


☆余談:『子ども』か『子供』か?


子ども

上記、【☆所得金額調整控除の創設】の中に『子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除』という文言が出てきます。これは税務署が出している「年末調整のしかた」からの抜粋になりますが、この文中の『子ども』という表記ですが、何故『子供』としないのか?疑問に思ったので調べました。

『供』にはお供など従属物という意味合いがあり、差別的表現にあたると考えられた時代があり、行政文書に使用する場合は『子ども』と表記されることが多かったそうです。

現在ではそのような取扱いはなく、2013年に文部科学省が公用文中の『子ども』の表記を『子供』に統一したという経緯があるようです。しかし、字の持つ柔らかい印象から『子ども手当』など、今尚『供』のひらがな表記が使用されているとのことでした。

ちなみに、当該条文には『子ども』という表記は登場せず、あくまで『年齢二十三歳未満の扶養親族』という表記がなされています。 

 


☆おしまい


おしまい

ここでご紹介したのは改正の一部です。

その他には
源泉徴収簿の様式変更
・扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
・ひとり親控除及び寡婦寡夫)控除に関する改正
などがありますのでご確認ください。

益々複雑化する税制。時代の流れに対応し、より多くの意見を取り入れて公平に配慮するとこのようになってしまうのでしょうか?
もっと単純コンパクトになることを期待しております。